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さよならは五分前 20

[1327]  ゆふこ  2010-12-28投稿
海斗の荒い動きに、悲鳴もでない。
簓はうつろな頭で否定していた。
この状況の全てを。

こんなの現実なわけ…ないよ…。

でも苦痛の向こうに垣間見える快楽の波が、自意識を飛ばしていく。

嫌だ、こんな…。

「簓…」

掠れた矢倉の声を背中に聞き、憎いと同時に刺すような痛みが襲う。
…それと、快感が。

挿入される度、痺れるような気持ち良さで頭がおかしくなりそう。
女みたいな、情けない声は本当に自分のもの?

俺、おかしい…。

「あ…ぁぅ…」

いいっ、って叫んでしまいたい。

理性が消えていく。

海斗の動きはより激しくなる。簓はもう唇を開いて断続的に喘ぐだけ。

二人はただ、ひたすらその時を待っていた。

白く、真っ白く果てる時を待っていた。


そのあとは知らない。


知りたくはなかった。

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