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さよならは五分前 25

[1100]  ゆーこ  2011-01-07投稿

部屋に入り、ぎこちなくしか動かせない足をソファーで休めた。

海斗は簓を見つめ、その視線に気付き困惑しているような表情をさらに眺めた。
キスしたい、と思っていた
「まだ…許したわけじゃないんだ」

「わかってる」

簓は僅かに苛立った様子で隣に腰かけた。

「…心配、した?」
「ああ」

なんだよ、余裕みたいな顔してさ。

簓が黙ってると、不意に海斗はくるりと向き合った。
「なんで泣いた?」

その目が余りにも真剣だから、簓は答えに窮して唇を舐めた。

「さあ」

海斗がくすりと笑って、手を組んだ上に頭をのせた。「わけわかんないな」
「そっちこそ。いきなり好きだなんていって。
順番も違うし」

その言葉に、海斗は微笑んだ。

「だから、泣いたの?」

その言葉には皮肉も何もなく、純粋に優しかったから簓は…思わず赤面した。
そうなのか?
だから俺、泣いたのか?
あんな風にされるより早く言葉を貰っていたら…俺は…。

海斗の指が、そっと簓の頬に触れた。

「好きだ」

不意に苦しくなる胸。

「俺は…男…だから」

「だから?」

その長い指が、綺麗な指が簓の首筋を掠めた。

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