さよならは五分前 32
堕ちる。
ずっと墜ちている。
ふと見上げると、大きな光の亀裂が入っていた。
バラバラと世界の破片が身体の横を通りすぎる。
「簓、これ…夢かな」
ゆったりと胸元に頭を押し付けていた簓はニッコリした。
「そうかもね」
暖かい身体、心を満たす彼への想い。
ゆめ?
那由多の暗闇のなかで見ている不条理な夢?
もしそうなら、なんとかけがえのない夢だろう。
「優しい目だね、海斗…なに考えてるの?」
愛してるって感じているんだよ。
頭をぽん、と撫でた時、海斗はハッと息をのんだ。
癖で必ずつけていた腕時計が…。
針が逆にぐるぐると回っていた。
「どうなってるの」
時計は左回りに物凄い早さで針を戻している。
真の暗闇だった周囲も黒から灰色、濃紺、藍色、紫、青…と変化し始めた。
なにかが確実に待っている
「海斗」
簓が見上げたその瞬間、時計は10時5分を指し示し。
白。
世界は白になり。
全て消える。
最後に見たのは簓の瞳。
その、瞳。
愛してる、と感じさせてくれる…瞳。
そして
閃光だ。
ずっと墜ちている。
ふと見上げると、大きな光の亀裂が入っていた。
バラバラと世界の破片が身体の横を通りすぎる。
「簓、これ…夢かな」
ゆったりと胸元に頭を押し付けていた簓はニッコリした。
「そうかもね」
暖かい身体、心を満たす彼への想い。
ゆめ?
那由多の暗闇のなかで見ている不条理な夢?
もしそうなら、なんとかけがえのない夢だろう。
「優しい目だね、海斗…なに考えてるの?」
愛してるって感じているんだよ。
頭をぽん、と撫でた時、海斗はハッと息をのんだ。
癖で必ずつけていた腕時計が…。
針が逆にぐるぐると回っていた。
「どうなってるの」
時計は左回りに物凄い早さで針を戻している。
真の暗闇だった周囲も黒から灰色、濃紺、藍色、紫、青…と変化し始めた。
なにかが確実に待っている
「海斗」
簓が見上げたその瞬間、時計は10時5分を指し示し。
白。
世界は白になり。
全て消える。
最後に見たのは簓の瞳。
その、瞳。
愛してる、と感じさせてくれる…瞳。
そして
閃光だ。
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