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ラック・ガール #23

[2012] 輪廻 2011-02-16投稿
リルナは自分が涙を流していることに気付かず、マスターに訊ねた。

「私………わたし……、
私は…………問題外、ですか?」


「リルナちゃん…」


最早、最初の印象とはかけ離れたマキが言葉を継いだ。

「リルナちゃん、今日は私がやります」

「!!」

ぴしゃりと言い放ち、
店側の入り口は、
リルナの眼前で閉められた。

リルナはその場に泣き崩れた。



店の中には苦い顔をするマスターと、静かに涙を流すマキがいた。

「リルナちゃんは、
急いで成長しなくてもいいの。
周りに迷惑をかけて、
たくさん泣いて、
嫌になるほど落ち込みなさい…。
あなたは、私たちが守るから…」

「マキ、でも無茶よ!今日だけで三百人よ!?そ、それに……。
昨日、さばいた明日の、五日連続最終日の整理券…三百五十枚以上よ……」


「ろ……六百五十人よね……。
二日で…」

マキの細い体が小刻みに震えていた。

「大丈夫よ…!私は南條(なんじょう)マキ……!この店のNo.1の……女っ………………!」

口を開けば開くほど、
体は震えて、涙が溢れていた。

マキはリルナへの謝罪と、

そして、恐怖から涙していた。

自信など彼女には微塵も無かった。

いつもそうだった。

No.1などプレッシャーでしかなかった。
しかし、スタイル、根性、年齢、やる気など全てを評価して、
今この店にマキ以上の従業員はいなかった。


「さぁ…準備してくるわ」

マキは店の奥に消えた。

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