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ラック・ガール #46

[2031] 輪廻 2011-03-03投稿
「……君がその店で働いた……という記録は無かった。
調べたのはつい昨日だった…。
龍弥にも取調を受けてもらった」

リルナは驚いて、反論しようとしたが、
声にはならなかった。

「……分かる。分かるよ。
………龍弥からも君への気持ちが痛いほど伝わってきた…。
それに……僕だって君の人生が変わってしまうのは見たくない…!」

リルナは震える体を必死に抑え、
首を横に振った。

「リルナ…………」

「ここは取調室じゃない……。
良ければ私は出ていこう。
だからせめて息子には、
蹴人には本当のことを話してくれ」

リルナは蹴人の父親に、一つだけ尋ねた。
メール作成画面には、こう書かれていた。

『マスターは、いつ逮捕されますか?』


「………………そうだな…。
龍弥は今、警察と店内の捜索に立ち会ってもらっている…。
早ければ夕方までには片付いてしまう……


「そんな…!親父!リルナと、最後に会わせてもあげられないのか!?」

「………」

「……蹴人、残念だが…」

「リルナ来い!!!
親父!!
二人乗りは見過ごせよ!!!」


蹴人はリルナの腕をとると玄関を飛び出した。

「店ってどっちだ!?…分かった!掴まってろ!!!」


自転車から振り落とされそうな速度で、
景色はリルナの慣れ親しんだ場所へと移って行く。


「………こんなことになってごめん…本当にごめん!!!でも、リルナがどういう思いで生きてきたか、やっと分かってきたんだ!!そのマスターって人に会わなきゃ、リルナは一生後悔する!!」


蹴人の背中に額をこすらせて、
リルナは精一杯の感謝を現した。

(マスター…!!!
お願いまだ行かないで…!!
これが私の大好きな人なの…!
見てよマスター……!!
こんなに……こんなに…カッコいいんだよ………マスター………!!)


リルナの涙を風で飛ばしながら、
自転車は夕暮れの店に辿り着いた。

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