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ラヴァーズ 1

[2007] にゃーす 2011-04-03投稿

もう恋なんてしないとか思ってた。

二十歳の頃から三年付き合っていた彼女から

他に好きな人ができた

って言われた時から二年。
もう、絶対好きな人なんてできない、いらない、欲しくないって思っていた。
春の雨が降る四月の日に



と出逢うまでは。

新入社員として同じ課に配属されて

自己紹介に並ばされた時に
俺は既に彼に惹かれてしまっていた。

今まで安っぽく使ってきた「綺麗」という形容詞しか当てはまらないのが悔しいくらい彼は美しい。

綺麗な男なんて気色悪いだけだ、という謝った認識は彼の存在で正された。

こんなに完璧な人が存在するんだろうか?

泉堂 遥(はるか)

彼が良く通る澄んだ声で名前をつげると、早速、職場の先輩から「ハルカちゃん」などと野次が飛んだ。

彼はそれに動じる様子もなく、ただ微笑んだ。

言われなれてるのかもしれない。

決して女の子みたいなわけじゃない。
かといって男臭さはなく、むしろ伸びやかに育った白樺のようだ。
しなやかで、優雅。

目を引き離すのが、こんなに苦労するなんて。

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