官能小説!(スマートフォン版)

必要悪 2

[1864] ポッキー 2011-05-12投稿
医学の力で変えた顔を、燐は不思議そうに撫でた。
「木戸なの?」

俺はゾクゾクする背筋を伸ばし息を整えた。

「そうだよ」

燐は歯を剥き出しにして笑った。
昔のまま、悪魔みたいに。
「なんで気づかなかったんだろう」

無理もない、いくら名前は同じでも顔には面影はないし…俺は目立たないように最大限気を使っていたんだ
そうして、燐を監察していた…今も変わらないか、確認していた。

そして、結果、燐は何一つ変わっていなかった。

友達とつるんでいる時も、光を吸収するような目はそのままで…、時おり見せる残酷な煌めきが遠い記憶を呼び覚ます。

「この顔…似てるな…僕に…」

「似せたんだ」

燐はアッハ、と笑って俺に抱きついた。

「最高!やっぱ木戸って面白い」

甘えるように見上げた顔が上気している。

「ねえ、今度は何して遊ぼうか」

俺は燐の黒髪を指で鋤きながら、微笑む。

「なんでも、燐が望むことを」

「じゃあさ」

燐は歌うように言った。
「母さん殺したみたいに…楽しい遊びを考えよう」


俺は邪悪の塊を抱き締めて頬に口づけした。

「いいよ」


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