メテオリック・ボーイ 1
今日このまま、誰にも見つからなかったら、
死のう。
本気で、
ほんとに、本気で、
わたしは、
思っていたのに…………。
「うわっ、マジっ。ちょっ、ちょっと、ちょっと…!!」
雨で冷えきった体を揺さぶられる。
うっすら残る意識のなか、
酷く重たく感じられるわたしの手足は、
文字通り鉛のように、重く、
とても邪魔に思えて……。
「ねぇ、だいじょぶ?おーい」
……。
とても邪魔に思えて…。
きっと、
この声の主がいくら力持ちだろうと、
わたしをここから移動させるのは、
困難なはずだろう……。
「返事が無いから、とりあえず動かすよ?」
グラウンドに埋まった様に感じられるわたしの体。
誰にももう、動かせないくらい重く冷えきってい……
「ひぁうん!!」
「わぁ、びっくりしたぁ!なんだ、意識あるんじゃない」
雨でびしょ濡れのわたしを、
同じくびしょ濡れの男子生徒が、
いわゆるお姫様抱っこの型で抱き上げていた。
その男子生徒の幼いような、純粋な瞳に、
数秒間思考を奪われたわたしは、
自分の体勢のおかしさに直ぐに気付いた。
「……!!待って!恥ずかしい!!降ろして!降ろして!」
「ちょっと待って!危ない、ほら。はい…っと。とりあえず、部室来なよ?タオルくらいあるからさ」
「部…室…?」
そう言って彼は、容赦無く私の手を引っ張って、どしゃ降りのグラウンドを駆け抜けた。
(こんな簡単に…。
男の子に、手を引っ張ってもらったの初めてだったのに…。)
「あなた……なんなの…」
「え?」
「……何でもない!」
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