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the angel make love 6

[2213] 輪廻 2012-08-10投稿


「私の話…?」

「ああ……生前の名前が花子…だろ。
今は……アレイアだったか…くくッ…」

「わ、笑わないで下さい!

はい…花子…でした。

あまり…
…良い思い出ではありませんが…」

花子は苦笑いしながら、俯いた。

「話したくないなら…
…別に構わねェ」

「いえ、大丈夫です…。
私は…あなたの真逆の人間でした。
誰にでも笑顔で、愛想を振り撒いていました」

「意外だな、ブリッコしてたってわけか?」

花子は自嘲気味に笑った。

「…いえ。……それよりも…もっと、
…酷かったと思います」

―花子…花みたいにぱあっと笑うから…。この娘は…花子……―



「花子ちゃん、一緒に遊ぼう!」

「うん!」


「花子ちゃん、おんなじ部活にしよ!」

「うん!」

私は、一人じゃなんにも決められませんでした。
だから親や周りの人たちに、ついていって…。
それが……一番…楽だなって…。
ずっと、人生から逃げていました。


「花子ちゃん、笑わないでね?私…………くんが好きなの…!
応援…してくれる?」

「うん!」


「花子…好きだ…付き合って欲しい」


「……!……ぅん」


「花子……。応援してくれるって…言ったよね?」

「うん……」

「なんで?ねぇ、なんで、
友達の好きな人奪って……笑ってられんのよ!!
アンタ…狂ってんじゃないの!?」

「………うん…」


「周りなんか気にするな…。
俺だけ見ててくれ…。
好きだよ、花子」

「うん…」



―花子…花子はねぇ、花みたいにぱあっと笑うから…花子っていう名前なの…。
だから…悲しい顔して、泣かないで…―

「…ぅん……」


「花子……お前のこと……もっと…好きになりたい……もっと」


「うん………」

最初で最後の相手が、彼でした…。



「お前…!!その腹…!!
……できた…のか?」

「…うん!!」



「何やってんだよ……!!俺らまだ大学生だぞ!?おい…
おろせよ…絶対おろせよ…!!」

「………………う…ん…」

できませんでした。
お金もありませんでしたし、
両親には、彼と付き合っていることも言っていませんでした。

「それで……自分で死んだのか…」

「………っぅ…ぅう!!」

「お前…自分が何したか分かってんのかよ……」

「………最低ですよ…最悪ですよ…!!
分かってますよ!!」

貴斗は脅そうとも掴みかかろうともせず、静かに言った。

「お前は何にも分かってねーよ」

「…!?」

「両親には…付き合っていたことも言ってなかっただ?
お前の母親の言ってたこと、もう一度思い出せよ!!」

「花子…花みたいにぱあっと笑うから…この娘は…花子……」

「お前……ヘラヘラ笑って死んだのか?

ああ人生楽しかったって、笑って死んだのか?

母親は、笑わないお前のこと、なんとも思ってなかったのか?

昔みたいに笑って欲しかったんじゃないのか?

なんで、せめて親に一言も言わずに死んだんだよ」

花子は、絶句した。
それから子どもの様に「ごめんなさい」「お母さん」と、何度も何度も泣き叫んだ。

貴斗は無言で、雨を見ていた。

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