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家族愛 37

[9126]  ザクロ  2008-12-30投稿
母親は膝を進めた。
身動きさえできない息子の髪の毛を撫で上げた。

瞳の美しい息子だった…

裕之がにわかに目を潤ませた。わかって欲しいと言いたげだった。

(……一日中そんなこと考えてるの?……)

髪の毛を撫でていた手のひらは、火照った頬を撫で始めた…

(ごめん…なさい…)

母親の手は胸板を撫で始めた。手のひらの温かさに、裕之は幸せそうなため息を漏らした…

(…バカ…)

涼子は…ドクドクと胸が騒ぐのを感じた…

コタツに腹まで入った息子に…添い寝するようにして…涼子も布団に入った。

胸板を撫で回しながら、涼子は潤んだ目で上から息子を見つめた…

母の指先が…悩ましく胸を撫で回す…
裕之はドキドキして…呼吸がおかしくなりそうだった。
美しい母親の瞳が、自分をまっすぐに…
深い愛と得体の知れない凄みに圧倒されて、動けない…

手のひらは…

時間が止まったような沈黙…
身動ぎもしない状態で…涼子の手だけが、裕之の上半身を降りてゆく…

何もできないまま、母の手がコタツ布団の中に侵入するのを感じていた…

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