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あなただけに 4

[1956]  ザクロ  2009-11-19投稿
アタシは断れない。どうしてこんな男の頼みなんか聞くんだろ…

伸二の注文は結構面倒臭かった。

一番可愛い格好をして、デパートの前で待ち合わせするって言う…
下着の色まで希望して来た。
こんなことに付き合ってやる義理もないのに…

土曜日、アタシはデパートの前に立っていた…

服なんかあんまり持ってない。だけど間抜けなことにアタシはこの日のために服を買った。
あんまりチャラいのは嫌だったから、白いタートルのセーターに膝丈のジャンバースカート…黒いストッキングと黒い靴(可愛いの下さいと頼んで店員に選ばせた)を履いて来た…
色白の子なら似合うだろうけど、アタシはそうでもない。鏡に写った自分を見ると、それらしくはなってるけど、やっぱ垢抜けないように見えた。
「麻緒…」
伸二が全身を眺めた。
「ちょっと…あんまり見ないでよ。」
普段したこともない格好で立っていること自体かなり恥ずかしい…

(可愛いな…)

たった一言だったけど、それで随分救われた。

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