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遠い日の唄 15

[1537]  にゃんこ  2010-01-18投稿

「ユウ!!」

桜を見上げていた影が、ギョッとしたように振り向いて…俺はその場に固まってしまった。

ユウじゃない。

ユウじゃない、ユウじゃない、ユウじゃない!

「…あの…もしかして…ハガネさん…?」




ジーンズに薄手のブラウス…灰色のニットという出で立ちから少年だと思ったのだが、声からすると少女だった。

…そして、そう。

彼女はユウに似ている。
背格好だけじゃなく、あの印象的な透明感のある瞳が似ている。

「…君は」


少女は驚きのあまり震える声で囁いた。

「本当に…本当に?
信じられない…」


少女はその場にへたりこんで、俺を見上げた。

「…ユウ…」

少女は呟いて泣き始めた
見たことないくらいの号泣だった。
俺はわけもわからずただ、呆然とその場に立ちすくみ…目の前の少女を見下ろしていた。


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