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母の遺言(十七)

[3237]  バツイチ女  2010-05-01投稿
「女将さん!元気はつらつ、リポビタンDですね!一段と綺麗ですよ…」

修は辺りに誰もいないのを確かめると、私に言った…

「あら、そう?…私はいつでも元気よ!…あッ、夕べはお世話を頂き、ありがとうございました…」

私は機先を制して言った

「どうでした?良かったですか?失礼はなかったでしょうね…」

「ううん!楽しかったわ!何もしなかったとは言わないけど…お話が中心で…目隠しが少しきつかったくらい。話が弾んで」

「そうでしたか。良かった…何時くらいまで?」

「11時くらいかなあ…よく覚えないわ!…修さん、何でも…凄く立派な人が居るらしいじゃない。言ってたわよ!…それで話が弾んだ訳…」

私はお味噌汁の具を刻みながら、照れ隠しに饒舌にしゃべった。
すると修は傍に近付いて来ると、

「女将さん、夕べの男は満足行かなかったんですね…やはり、立派なのが良かったですか」

「そんなこと、ないわ!…素敵だった!お礼を言ったじゃない!満足してます。ありがとう」

「本当ですか?それならいいけど!…」

「嘘は言わないわ。誰がいい、悪いとか差別みたいなことはしたくないから。…それに、私、お話が出来て癒されればいいの!…嘘だと思うなら、今朝も甘いの一皿、焼きましょうか、卵焼き。そんなに激しかったら二日は続かないわ。私、平気よ!ピンピンしてるもの」

「ピンピンしてるなら、甘いの焼いて下さい。奴のを見るだけでも、話が弾みますよ!それこそ、癒されますよ。奴を今夜行かせますから…」

「癒されるなら…いいわよ甘いの、焼くわ。本当にいいの?…」

「いいですよ、昨日どっちにするか迷ったくらいでただ、目隠しをしてたんじゃ、話にならないな」

「母は…当然、目隠しなんかしてなかったんでしょ…平気だったのかなあ」

「旦那さんを亡くして、これだけの身代を築いた人ですから…腹が据わっていましたよ!女将さんも二代目で、腹を決めたらどうですか、もう!…秘密を守るとか、漏れるとか、噂が立つとか、責任は私が持ちますから…」

「修さん今日はお仕事?」

「今日は私、遅番で夕方から仕事です。それ迄は暇ですよ」

「じゃ、食事の後、相談に乗って下さい。班長として、色々とお店のこと」

「いいですよ。私に出来ることなら…」

「お願い!…取り敢えず…一皿、甘く焼きますよ」

「はいはい、お任せを!…立派な奴を手配します」

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