「あ、あの……」 紫乃はちょこんと部屋の隅に正座し、板敷きの木目を見詰めている。顔が少々赤いのは...
「いいって事よ。その代わりと言っちゃあなんだが、お前んとこの夜鷹にな、掃除をしに来て貰いてえんだ」 ...
「おう、与兵衛じゃねえか。何こんな所で油売ってんだ」 そこには裃を穿き、身なりを調えた久間の姿が...
町は晴天。運河沿いの通りを河岸町に差し掛かった辺りで左に折れ、商家の並ぶ町屋へと入る。その中に小ぢ...
「んんんんんっ!」 上半身は紫乃に、下半身は与兵衛に攻め立てられ、狂おしいまでに乱れる。根元まで...
「これじゃぁ寝れもしないだろう?」 布団を跳ねのけながら起き上がり、お理津が言った。やがて、その...
固まる与兵衛。その唇が強引に塞がれた。自然、彼の腕がお理津の背中へ。然れどその動きは無骨で、且つ不...
「私なんかじゃなくって、本当は与兵衛さんにこう言うこと、して貰いたいんだよね……」 「や、やめなっ...
「なっ……こ、ここで待ってなって言ったじゃないか」 「一人でじっとしてるのが嫌だったから……」 ...
河原の道をさ迷う紫乃の姿はまるで幽鬼のようであった。幸いだったのは彼女を最初に見つけたのが、お理津...