赤髪の少女は、ニコッと笑いながら僕の足をグイグイと地面に引っ張る。
それに伴い、僕の意識も遠退いていく。
ははっ、お花畑だぁ。
「じゃ……ねぇぇ、ちょっ、早く縄……ほどいて」
「なんだ、絞めるんじゃなくて解くのかぁ。つまんないのっ」
少女はわざとらしく、てへっと笑うと台座に登り、僕の体重を支えている張り詰めたロープを、どこから取り出したかも分からないどでかい大鎌で、ズバッと切り裂いた。
―――ドスンっ―――\r
「ゲホっ……ゲホっ、こっ、殺す気か!今、僕はこう……気管支がギュッてなってたぞ、ギュッて!」
地上……つーか現世に再び降臨した僕は、僕を見事に殺害しようとしてくれた赤髪の少女に咳混じりに告げた。
真っ黒い丈の短いワンピースを身に纏った赤髪の少女は、やれやれと言った様に首を傾けながら怒り狂う僕にこう返した。
「もうちょっとで魔界に行くことができたのにね〜、残念」
全く反省の色を見せない少女の姿を見た僕は、この少女がどこのどいつで何故に僕の部屋にいるのかなどという愚息した疑問よりも、怒りのボルテージが極限まで高まった。
「ふっ、ふざけんな!こんの殺人未遂犯が」
「ん?それは違うよ、だって君は自分で死のうとしてたんでしょ?」
不意に真面目な顔付きになった少女の意をついた返答に、僕のボルテージは風船の様に萎んでいった。
「うっさい……もういいよ……大体、お前さっきから僕の部屋にさも同然の様にいるけど、どこの誰なんだよ」
胡散臭い、どっかのアニメに出てくるキャラクターの様な少女を胡座をかいて僕は見つめた。
「私……?私は悪魔だよ」
ニカッと笑った少女の背後から、先っぽが尖んがった黒く長い尻尾の様な物が見えた。
「はぁ?悪魔、んなばかな、つーか君、頭大丈夫」
敢えて、見えた尻尾はスルーしつつ少女に言った。
「頭がおかしいのは君の方じゃん。折角、魔界常駐暗黒会議で『日本一可哀相な青少年』に選ばれた命を自分で捨てようとしてたんだから」
はい?
ますます訳が分からない。
「何だ、そのすげぇ不名誉な名称は……」
僕の質問に対し、少女は淡々とこう答えた。
「要するに簡単に言うと、可哀相な君の願いを叶えてあげる為に私は人間界に派遣されたの」
ああっなるほど
なるほど?