「そういえばさ、君……名前は?」
閑話休題し、精神が落ち着き始めたというか逆におかしくなりはじめた僕に悪魔ッコが訪ねた。
「その件に関しては人類最後の武器、黙秘権をつかわして貰おう……つーか、素性も何も知らんお前に答える義務ないし」
腕を組み、顔をプイっと背ける僕。
「あっ……そっか、自己紹介まだだったね〜。私は中級悪魔のラウラ・ライ・マウア……よーするにマウア、年齢は117歳……こっちで言うと17歳になるのかな……んで、君は?」
悪魔ッコ、マウアは首を傾けながら僕に言った。
つーか、本格的にコイツ、いっちゃってるな。
おーい、衛生班コイツの治療たのーむっ、と言いそうになるのを堪えながら、マウアにこう告げた。
「だから、答える義務っつぅか答える気は、な・い・の」
「ふーん、でも君じゃあ呼びにくいしなぁ。私が名前つけちゃおう」
勝手に盛り上がり始めやがった。
「いまいち冴えないから、冴えない君とか、それだったら、ひねくれてるからひねくれ君もありかな……」
「一生やってろ」
僕は立ち上がると、大きな伸びを一つした。
グ〜〜〜〜。
その瞬間、腹の音が鳴った。
そういや、今日の昼、学食でパンの耳をおばさんから貰って移項、何も口にしてない。
母さんは、今夜も帰ってくるの遅いだろうし、つーか、多分何も作ってくれないし……。
その時、飢え死にを予防するために、日頃から食べずに貯蓄しておいたカップラーメンが台所の戸棚にあることを思い出した。
「あっ!」
突然、部屋中に声が響き渡った。
「んだよ……ラーメンはやらねぇぞ!」
心にあった言葉がそのまま声として出てしまった。
「決めたよ、君の名前……願(ガン)……うん、我ながらナイスセンス」
マウアはぐっと僕に向かってグッジョブのポーズをおくった。
「勝手に決めんな、電波女」
僕はそのポーズをそのまま180度回転させた、シット(失せろ)の意を込めたポーズをマウアにおくりかえしてやった。
つーか、マジに腹減った。