我が家のセックスはこんな感じで始まる…。
恋愛時代のようなドキドキ、ワクワク、妖しいムードというような感じは最近無くなった。
生活費を貰い専業主婦である限り、家事と隆の身なりなどにベストを尽くすのが務めだと認識してきた。
…また私も会社勤めで【職場での男の実態】を見て来たから激務、ストレスなども判る。
だから、ことセックスに於いて言えば、隆が他の女と遊んだとしても、私にバレない前提で【仕方ない】と思うことにしている
妻が旦那について回る訳ではない。信頼するしかないのだから。
遊んだとしても、いずれ戻って来る魅力的妻でありたいと思う。
それなりに自信はある。
隆は大学でテニスをしていたが私も高校大学でやったから、夫婦で入ったクラブでは互角に闘えたし、隆の奨めで始めたゴルフも、自分でテニスとの共通点を体で覚え、隆とは今、ハンデキャップゼロ、スクラッチだ。
隆はバブル崩壊後、ゴルフ会員権を二口買って私も会員にしてくれた。
生活に何の不満も無い。
翌日、私はエステに行った。月に二度行く。
私はこのフランス帰りのエステシャンの先生にもう三年程お世話になっていた。
40代の素敵な女性だ。
全身エステをしてくれる
【順調のようですね恭子さん…最近…】
先生が私の耳元で囁く。
【何がですか、先生…】
眠気を誘うようなフェイスマッサージを受けながら私は言う【…セッ…クス!…】
先生が言う。
【何のこと!冗談を…】
【判るんですよ、恭子さん。ホルモンの分泌が違いますもの!肌のツヤが違います。ここ2、3ヶ月、旦那様と順調なのが…】
と先生が言う。
【そんなことありませんよ…先生がそんな冗談…珍しい…】
【恭子さんね!セックスというより、その感情、恋愛の感情がホルモンを分泌させ肌の健康を保つの!20代 のお肌に還ったわ…夢に見る程の感情ね…だから恋をする女性は綺麗なの…】
夢と言われて私は一瞬、ギクッとした。
昨日、15年振りに聡の声を聞いた。
昨夜は隆に抱かれた。
夢に出て来たのは夫ではなく聡ばかりだった。
【ここ…2、3ヶ月?…プロテインとコラーゲンのサプリの精かな…】
私はごまかしたが、ここ2、3ヶ月と言えば同窓会のハガキを受け取り…夢と言えば聡の夢を見始めてからだ……。
【それはあくまでもサプリメント!ホルモンは…愛しさ、切なさ…から滲み出るの。下着さえ濡らす程…】
【えーッ。そんなに?】
言ったものの、先生の声は響く。心に…