『090…9495…6**5ですね…間違いないですか?』
俺が記憶を引っ張り出して妻に確認した。
『結構です』と妻。
『それでは明日午前9時ジャストに非通知で電話を入れます。宜しいですね』
俺は契約書類を封筒に仕舞いながらいった。
『しっかし!なんだな小倉さん、いや小倉君というべきか。大学二年生と言えば 19才?20才?しっかりしてるねぇ!…もう電話番号覚えたの?……なあ、お前、こんな跡取りが出来たらなあ!欲しいなあ!』とか男が言う
『そんな大した者じゃないです。電話番号は奥様が妊娠するまでですから…その期間なら何とか記憶できます。記憶力がないと野球は出来ませんから…』
俺は茶封筒を脇に抱えて立ち上がった。
翌日、あッ、局長に記名捺印済みの書類を届けた。
『あッ、局長。これ書類です。何だかなあ、あッ、局長。私の好みを知ってますね!いい女でした!ありがとうッス!』
『おお、オグリキャップ残念だな!今、電話で断って来たよ先方が』
『んッな!冗談は顔だけにして下さい。昨夜、目でイカせて自信アリです』
『顔をお前に言われたくはネェよ!だが成長の後は見える!引っ掛からんところはな。…あの夫婦な、旦那が肝炎らしい。遺伝させたくないらしい。…早速、カウンセリングにかかれ!早いとこぶち込め…売上げも伸ばそうじゃネェか。前金は今から振り込んどく…』
前金と聞けばおちおちしてはおれない!
9時を待って電話を入れた……。
『あッ、奥様、昨夜はお世話になりました、小倉です。今日の要件は次回面談日を決めることですが…昨日の書類の中に体温測定表がありますので今日からお始め下さい』
『ああ、こちらこそお世話になります。体温は朝に計りましたの…』
『あッ、もう測定して?…じゃ夕方を計ったら所定の用紙でFaxを願います。それとカウンセリングをしなきゃなりませんが、面談よりも携帯の方がリラックス出来て本音で話せるという奥様もおられます。奥様はいかが致しますか』
『え〜!他の奥様方、何故かしら…リラックスして本音で話しやすいの、電話』
『もう目的は明確ですから私が具体的なことをお聞きしますから、あれ、とか、あそこ とかでは要領を得ませんで、チンポとかオマンコとか面談では奥様の口から言いにくいんだと思います多分』
『あッ、そ、そう言うことね!なら私も面談では恥ずかしいです…お電話でお願いします』