彩花と並んで歩くと、校門を出てからでもあちらこちらから視線を集めた。
それだけ彩花は注目されている存在なんだと、琉斗は感じた。
「迷惑じゃなかったか? 」
「なんで? 」
聞き返した彩花の長い睫毛が白く小さな顔に揺れる。本当に綺麗になったんだなあと、改めて琉斗は思った。そして胸のときめきを抑える事が出来なかった。
「みんなから見られてるからさ、彩っぺが明日クラスで何か言われるんじゃないかって思ってな」
「平気平気? 言いたい人には言わせとけばいいもん。琉ちゃんこそ、大丈夫? 」
「オレは男だからな、そんなのどうもない」
「でも珍しいね、琉ちゃんから声をかけてくるなんて? ビックリしちゃった?」
彩花の笑顔が物凄く可愛らしかった。最近、元気が無さそうだったけど、気のせい? 思う琉斗だった。
「琉ちゃん、なんだか私を避けてたような気がしてたから… 」
軽い笑顔で彩花がためてた思いを投げかけた。
「え… あ、えと、避けてた訳じゃないけど、ほら、思春期のあれだよ、あれ? 」
「あれじゃ分からないよ。私のこと、嫌いなんでしょ?? 」
「そ、そんな訳ないじゃん? 」
「じゃあ、好き?? 」
彩花が悪戯っぽく琉斗の顔を覗き込んだ。
「そりゃ… 好きだけど? あー、訳わかんねぇ? 」
「あー? 琉ちゃん、やっぱり私のこと、好きなんだー????? 」
「知らねぇ? 」
「…けど、良かった… 嫌われてなくて… 」
不意に立ち止まり、しっとりと彩花がうつ向いた。
「… ん? 彩っぺ、どうしたん? 」
「 …琉ちゃん、あのね… 」
彩花から次の言葉が出てこない、琉斗は待った。
「あのね… 」
「ん?? 」
「私とエッチしない… ? 」
琉斗の中で辺りの雑踏が音を無くした―――