翌日。
エヤーマットは頑丈な作りで、空気を入れる前の折り畳んだ状態でもかなりな重さがあった。
クローゼットの奥からキャリーバックを取り出して荷造りをした。
空気入れも足で踏む大型の物だ。
必要グッズ一式を詰めたキャリーバックを引きずってアパートを出た。
あッ、局長が昨夜呟いた一言が気になりながら途中のドラッグストアに寄る
…(俺に事務局長が務まる訳がない)…などと考えながら栄養ドリンクを物色した。
昨夜、あッ、局長がくれた焼き肉代が 3万円程残っている。俺は一番高いマカ入りドリンクを 3本買った。レジで2万7千円を支払った。
レジ係は、井川遥に似た女だった。卑猥な唇をしていた。
「これ、効かなかったらどうする?怒るわな相手」
と他に客も居ないので女に言った。グイグイとその場で2本を空にした。
女は黙って見ていた。
「自信持てば大・丈・夫!」
と言う女に空瓶を渡してVサインで店を出た。
それでもまだ、時間が余った…。駅の近くのサウナに入った。時間が余る
……いつもの習慣で豪邸に30分前に着いた。
ホーンを押すと女が迎えてくれた。
「早く来てくれたのね」
「もう、我慢出来なくて…朝から勃ちぱなし!」
女がはにかむ…。
リビングに主人も待って居てくれた。
テーブルの上にはブランデーセットが置かれ赤い顔をしていた。
「これはこれは、お世話になります。まあ、一杯どうですか」
と俺にも薦めてくれる。
「いえ、酒もタバコも高校と同時に卒業しました。それに、少しでも優秀な精子を作らないとイケませんし…」
「そうか、それぞれ人が知らない所で苦労があるんだな、世の中…」
「それより、これなんですが…エヤーマット。」
俺はキャリーバックから折り畳んだマットと空気入れを取り出して見せた
…おう、おう…と呟き、空気を入れようとする。
「あッ、社長、ここではダメです。使う部屋で空気を入れないと、ドアが入りませんよ」
と言うと
「お〜い!これ、どこで使う?マットは!」
台所の女に声を掛けた。
「お風呂場〜!」
女は見もしないで声だけ返して来る…
「判った〜!小倉さん…私が空気、入れますよ。あんたはゆっくりして下さい。これくらいは私もやらないとね。申し訳ない
…パンパンでいいね?」
主人は一式、小脇に抱えて出て行った……。
入れ代わりに女が珈琲を運んで来た。