大野雪丸が走ってくる。 見てて笑っちゃうくらい全力疾走だ。
なんでアイツって犬を連想させるんだろう?
…あれだ、あの口の周り真っ黒の柴犬だww
俺がそんなこと考えてるなんて知りもしないで、雪丸がようやく辿り着いた。
色白の頬が赤くなって、肩で息をしている。
ぜえぜえ言いながら、瀕死の手つきで俺の前に焼きそばパンを付き出した。
「モト君…こ…これ…ほら…限定…のやつ…」
俺は受け取りながら大丈夫か?とか声をかける。
雪丸はウン、と頷いて階段に座り込んだ。
この場面だけ見るとまるで俺が雪丸をパシりにしているように見えるが違う。 こし餡とつぶ餡の如く似て非なる事実だ。
「だあかあらさあ〜、俺、別に限定焼きそばパンそこまで欲しいっつってねーじゃんか」
受け取りつつ苦笑い。
雪丸はぽちゃついてる頬をふくらまして、むっとしてみせる。
…柴犬だ、柴犬(笑)
「モト君はそういうけどね…こないだ焼きそばパンを否定された僕としてはそれを食ってからいってよと思うわけだよ。
焼きそばとパンの融合が邪道なんて言えなく…おえ」
全力で走った挙げ句の全力トークに吐きそうになる雪丸…ww