本村有住ことモト君が、笑ってる。
なんてまあ、眩しい笑顔だろーか!
有住、とはアリスと読むのだと知ったのは高校二年生で初めてクラスが一緒になった時だ。
男なのに変わってる名前だけど、ちっとも変じゃない…むしろピッタリ!
そーゆー常人と名前からして違うとこが…ああ、そう、モト君の素敵なとこなんだ。
モト君が愛しげに笑ってるから僕の疾走にも拍車がかかるわけだ。
なんつったって、モト君がいま見てるのはこの雪丸だけなんだから…今は、今、この時だけは。
モト君のサラサラした長い髪が5月の風に揺れちゃったりしている絵面はまさに…そう、ポートレート…一枚の絵画なわけです。
モト君にようやくたどり着いて、苦労して手に入れた焼きそばパンをお渡しする
モト君が呆れたようにブツブツ言うのを、僕はこの上ない音楽のように聞く。
こんなことゆうと、まるで僕がモト君に恋してるみたいに聞こえるかもしれないけど、違う!
クリームあんみつと、ただのあんみつ程に似て非なる事実だ。
そう…僕は、痛いくらい憧れているんだ。
僕にないものを全て備えている、この人に!