雪丸の、焼きそばパンをかじる俺への熱い視線を感じながら食う。
確かに…うまい。
パンが香ばしい。
焼きそばのしっとり具合もなかなかだ。
「…よし、認めてやる。
焼きそばパンは…邪道じゃねえ。俺の負けだ」
雪丸が満面の笑顔を見せる
「ほーらね!だから言ったろ?高野ベーカリーをなめたらだめって」
「はいはい、すんませんね〜雪丸ちゃん」
ちゃんづけされた雪丸は真っ赤になって膨れた。
同年齢の俺に子供扱いされるのがいつも悔しいらしいからわざと俺も言っちゃうんだけど(笑)
「ね、今日部活?」
「んあ、多分な」
軽音部は部活らしくない部ナンバーワンだろう。
なにしろ集まってるのが俺を含めた学校の問題児ばっかときてる。
雪丸はしょっちゅう顔を出すが軽音部ではない。
いや、雪丸は入りたいかもしれないが…無理だ。
リズム感0だし、何しろ音感がない。
でも、俺たちの練習を見るのは好きで自分の新聞部そっちのけで参加している。今ではメンバーが
「雪丸いないの?」
とか俺に聞く始末…。
別にいいけど雪丸の飼い主みたいになってんのが多少困っている今日この頃。