「アリス!」
部室に入るなり、大翔がドラムを叩く手を止める。 金髪とゆーよりはもう白に近い短髪をかきあげて薄い唇を歪めて笑う。
この笑みとも言えない笑顔に、女子らはキャーキャー色めきたつわけだ。
暑苦しい学ランを脱ぎ、雪丸に渡す。
ほっぽりだすと必ず雪丸が大事そうに持っているからで、なら始めから渡すのが面倒がないわけだ。
「なあ、ここんとこライヴやってねえじゃん?
そろそろやろうぜ」
大翔の気だるげでハスキーな声に俺は曖昧に頷く。 ライヴなあ〜、学祭とかでもねえからなかなか難しいんだよな。
「なあ、雪丸だってみたいだろ、アリスがオーラ全開で歌ってるとこ」
雪丸は複雑な表情を浮かべてヒョイッと肩をすくめた。 どうも雪丸は大翔が苦手らしいのだ。
マイペースな大翔は全く気にしていないんだが。
ライヴ開催に考え込む俺のとこに、大翔がツカツカと近づき、腕を肩に乗せる。脂肪分0の引き締まった体から僅かに煙草の匂い。
コイツ、止めたいって言いながら駄目なんだよなww