葉瑠先輩の指先が、俺の全部になる。
世界はいま、葉瑠先輩に集約されている。
俺は怖かった、されてる行為の異常さも…なにより自分自身の制御不能な快楽も…。
先輩の手慣れた動作で、男相手も初めてじゃないのかも…とよぎる考えが、チクリと胸をいたぶった。
それなら先輩の…この…行為に…深い意味なんて…
だめだ、支離滅裂、か、考えまとまらな…
「風見…ほら…すんなり…ねえww」
先輩の長い指が、俺の中に侵入してくる。
抵抗したくても、力が入らない…。
「風見、お前のそんな顔が見たかった」
…どんな…?
自分自身さえわからない感情が顔に出てるの?
「は…る先…輩」
月に照らされた部室で、蠢く二つの影。
俺たちは、ひとつの影になっていた。
望もうと望むまいと…。