ことが終わった後で、俺を気遣うように見つめる先輩の目を虚ろに見上げていた俺は自分が泣いていたことに気づいた。
繋がってる時の痛みで?
わかんねえ…頭、まわんねえし…。
葉瑠先輩が、俺の目をのぞきこむ。 俺自身はかりかねる気持ちを探すみたいに
「…先輩」
掠れた声。
「痛かったんすけど」
先輩は俺のはだけた胸元を優しく整えて笑った。
自嘲気味な、苦い笑いに聞こえた。
「初めはそんなもんだ。そのうち良くなるよ」
「え。俺、何回も先輩と寝るっつーこと?」
先輩は俺を見下ろして囁いた。
「俺が飽きるまで我慢してよ、風見」
これが、俺たちの関係の始まり。
全く妙だ。
恋愛?
いや、先輩は俺に恋はしていない。
俺があんまり生意気だから征服したくなった、それだけのこと。
多分、飽きるのはそう遠くないはずだ。
俺みたいな人間に、葉瑠先輩がいつまでも関わるはずがない。
俺はぎすぎすする身体を起こして葉瑠先輩を見据えた「…ま、いいですけどね」葉瑠先輩はまた笑った。
今度の笑いの意味は
俺には解らなかった。
そもそも俺に解ることってそんなにないみたいだ。