俺たちの関係がバレることはまずない。
相変わらず葉瑠先輩は女子に囲まれてるし俺は浮いている。
女の子らに見せている先輩の顔は「よそ行き」
綺麗で影がない。
俺に見せる顔には、時折言い知れない表情が混じる。奇妙な闇が覆う瞳。
何回か抱かれたあと、先輩に聞いた。
「なんで、そんな目をしてるんすか?」
先輩は(僕が驚いたことに)怯んで目を背けた。
再びこちらを見た先輩の目はいつもの悪戯な目だ。
「しようか」
誤魔化すようにもう一度抱かれて、快楽しかない一時を過ごす。
2人の関係に、快楽以外の何かを…俺は探し始めていたんだ。
いつのまにか。
それが苦しみの始まりだと薄々わかっていたのに。
月…。
先輩は満ちることのない新月だ。
謎めいていて、存在しているのに見えない…。
わからない。
俺には先輩の気持ちが何一つ解らなかった。