「お前ここんとこずうっとおかしかったよな」
野坂秋人に引き摺られるように保健室に連れてこられて、俺はぼんやり天井を見上げていた。
「そうか?」
秋人とは余り話したことはないけど、他の連中よりは部活が同じなだけに関わることは多かった。
俺と同じに寡黙で、俺とは全く違う、おっとりした優しさの感じられるヤツだ。
「お前、蠍座?」
「…は?」
秋人が小さく笑う。
「秘密主義だから」
俺も、笑った。
あれ以来、初めて笑えた。二週間ぶりかな…?
時間の感覚もわかんなくなってるらしい。
「…もっと…頼れば?」
秋人の意外な一言で、俺は崩壊してしまった。
堪えてたものが壊れて、流れ出てきた。
秋人は黙って、横に座っていてくれた。
声をあげて泣いていた間もいてくれた。
ベッドから体を起こして、膝を立てて泣いた。
シーツがビタビタになるまで泣いた。
泣きたかったんだ、とわからせてくれた秋人に感謝していた。
ひとしきり泣いて、泣いて…腫れた目で秋人をみたら「すげー顔だな」
なんて笑われた。
俺は…もう一度、笑うことができた。