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悪魔ッコと僕〜悪者だね〜

ウグイ  2006-05-01投稿
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「にゃ〜」

黒ネコが僕の足にまとわりついていた。

首輪もついていない事から野良だろうか?

「クロネコに好かれるなんて、この不幸せ者っ」

よっ、大統領と言った感じで口の回りを手で囲みながらマウアは僕を囃し立てた。

「朝からこれかよ……」

はぁ……と溜め息混じりに頭を抱える。

悪魔ッコに取り付かれて、ついでに黒ネコに好かれる……ダブルコンボだな。

98連鎖……なんつって。

「にゃ〜」

黒ネコは、何を伝えたいのか僕の足にまとわり続けながら声を荒げている。

僕はネコ語を話す事もできなければ、何とでも話ができる様になる便利なコンニャクも持ち合わせていない。

……推測で考えてみよう。

「よし、きびだんごをやるから鬼ヶ島までお供するか?」

「にゃ」

たぶん、「いやだ」と否定された様な気がする。

ならば、これか?

僕は猫と同じ目線まで、しゃがみこむと黒猫の額やら体やらを撫で回した。

「よしゃしゃしゃしゃ」

「ガン、なにやってんの?」

奇怪なる行動をとる僕を、目を細めながら不気味な物を見る目線でマウアは言った。

「知らないのか?人間界で動物と話せる神様と言われた男は、こうやって生き物と心を通わせたんだ」

だが、稀に意思の疎通が生じて猛動な肉食獣に噛み付かれることもある。

「にゃ、ふにゃー」

むろん、僕も例外ではない。

シャキーんっ!

「どわぁぁぁ」

嫌がる黒ネコに顔面を鋭い爪でひっかかれた。

僕を生殺しにした黒ネコは、素早く身を翻すと道路に向かって走りだした。

瞬間、赤いスポーツカーが猫の進行方向に見えた。

「ば……危ないっ」

ドンっ!

言うより早く、鈍い衝突音が辺りに響いた。

黒ネコの小さな体が空中に舞い上がり、無機質なコンクリートの道路に音をたてて落下する。

赤いスポーツカーに乗っていたヤンキー調の男は、その場に停車すると運転席のミラーを開け、動かなくなった黒ネコを凝視した。

「げっ、最悪!黒ネコひいちまったよ」

捨てぜりふの様に、そうとだけ言うと、何事もなかった様に再び車を発進させた。

ぶろろーん。

見えなくなっていく車。

「ひょえ〜、あの男もかなりの悪者だねぇ」

マウアのひょんとした声が静寂を突き破った。

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