僕の幼なじみ…三谷アキヒトは、録でもないやつだ。
出逢いは小学三年生。
どっかしら、いつも怪我してるやつだった。
左足に包帯、取れたら右腕に湿布、といったみたいに
髪はその頃から金髪で、人形の髪みたいにパサパサしてて。
目は…そう、怖いくらい鋭い癖に空虚だった。
纏う空気が違いすぎて、友達もいなかった。
ガリガリなのに給食は何回もおかわりするし、3日くらい平気で同じ服をきてる
頭は悪くないのに、絶対に手を挙げないし、皆が笑う先生の冗談にも一人醒めた目で外を見ていた。
「悠、知ってるか…あいつギャクタイなんだって。かーちゃんが言ってた」
帰り際の放課後…囁いた友達の言葉…夏休み前の暑い教室で、静かに指を差されたアキヒトを僕はじっと見つめた。
「ギャクタイするような親を持つとさあ、された奴も頭おかしくなるってかーちゃんが言ってたぜ。本当にそーだよなあ、あいつキモいじゃん」
ひそひそと話続けるそいつの口を、僕は塞いでやりたかった。
だって確実に、アキヒトは聴いていたから。
むしろ、聴かせたかったのかもしれない、と今は思う
アキヒトはゆっくりと席を立った…。