僕らは友達になった。
次の日、周りの連中は僕がアキヒトの席に向かい、話かけるのを唖然として見ていた。
昨日、何を話したわけでもないけど、必死に追い付いて横に並んだ時に僕らは友達になっていたんだ。
僕にとっては、という意味だけれど。
結局謝罪の言葉はでなくって、僕はただ横を歩いていた。
別れ道、僕が「バイバイ」と後ろ姿に叫んだら
アキヒトは振り返らずに右手を高くあげた。
それだけだ。
それだけでも、友達になったんだ。
相変わらず怪我ばっかで、汚い洋服を着ているにも関わらず僕という存在のお陰で、アキヒトは少しずつ浮かなくなっていった。
それでも友達と言えるのは僕だけだったし、その僕にも校内で話しかけることはなかった。
つまり付きまとっていたのは僕なわけだ。
僕らが本格的につるむのは夏休みに入ってからのことだった。
いまでも思う。
あんなに綺麗で、眩しくて嬉しくて…悲しい夏休みはなかったと。