全てが変わったのはあの日からだ。
僕の母親は、ズダボロなアキヒトと話をした。
母さんは言った。
「貴方を助けたいけれどそれは全てが変わることを意味するの…私は今の現状を変えたい。貴方はどうしたいのか聞かせて。
私は貴方が戦うなら、一緒に戦うから」
頭がいい貴方ならわかるわね、と大人同士みたいに母さんは向き合っていた。 母さんはあの男に一度電話していた。
これ以上虐待を続けるならアキヒトを帰さない、と。
そんな脅しが通じる相手じゃないとわかった今、選択の余地は限られていた。
アキヒトは着せられた僕のシャツを見下ろして…顔をあげた。
「戦います」
母さんは、頷いた。
それから、たくさんのことがあった。
母さんは梃子でもアキヒトを帰さなかった。
父さんが反対しても、帰さなかった。
児童福祉施設に掛け合い、学校にも通告した。
アキヒトも今までされてきた虐待を施設職員に涙ながらに語り、(アキヒトはそれを絶対に楽しんでいた…遊んでいる時の目、そのままだ)帰ったら殺されると訴えた。
新学期、アキヒトは僕の家からしばらく通い…それから養護施設に移ることになった。