高校一年になった春、アキヒトは順調に録でなしになっていた。
同じクラスになった僕がやっとこ入った進学校に彼は楽々と入ったのだ。
燦然と輝く学年トップという肩書きを載せて。
周囲から向けられる尊敬と畏怖の眼差し。
本当の父親が前科者で、母親はいないという境遇を隠さず毅然としているアキヒト。
名字も三谷から嘉納に変わった。
演技にも磨きがかかり、少しでも自分の意に沿わない相手は容赦なく叩き潰した
その遣り口は唖然とする程卑怯で劣悪、そして驚くほど単純だ。
数学の教師で、アキヒトの境遇を面白く思わないやつがいた。
ことあるごとに嫌味を言っていたが ある日、クラスの全員に向かって
「生まれの賎しい者はいつまでも賎しい」
と言ってのけた。
無表情なアキヒトの目に、氷の刃が宿った。
アキヒトはうっすら笑ってその教師を見つめ返した。
次の日、全ての教室に数枚ずつ写真が張られていた。その教師が自分の部屋で制服姿の女子とセックスしている写真だ。
その教師どころか女子の顔まで鮮明に写っていた。
「あんな男と寝る奴も同じ畜生だ」
そう言ってアキヒトは笑った…。