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ライアー 26

にゃんこ  2010-07-21投稿
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無防備なアキヒトを僕は抱きしめた。

あの日、アキヒトがしてくれたみたいに。
背中を叩いた。
優しく、優しく。

「美恵子が俺の母さんだったら、俺もお前になれたのかな…」

泣きながら、しがみつくアキヒトを泣きながら僕は支えた。

僕に、なりたかったの?
だから僕には嘘がつけないの…もう一人の自分だから…?

「君は君だよ。
君のままでいてよ。
アキヒトがいないとつまらないよ…アキヒトがいないと寂しいよ」

この世界の誰もがアキヒトの生き方を否定しても、僕だけは見ていよう。
肯定も否定もしない目で、ただ見ていよう。

生きて欲しい、ただ、生きていて。

「愛してる」

それは恋愛じゃない。
友情じゃない。
もっともっと、言葉にならない奥底からの感情だ。 自然を愛するような、家族を愛するような、大きくて眩しい愛。

アキヒトが体を起こして、何かをいいかけた時…


僕らは影に覆われた。

その影は素早い動きでアキヒトの肩を押さえ付け、体ごとぶつかって握っていた煌めく何かを胸に突き立てた。

びっくりしたような顔で彼は突き立てられたナイフを見下ろして…僕の上に崩れ落ちた…。

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