僕は沈黙に耐えれなくなり、チラっと青年の方を見た。
ドキっ……
その瞬間、僕の胸に高鳴った。
青年が僕を見つめていた。
…と言うよりも睨んでいた。
『あの…僕…』
「宇佐見広俊……」
僕が名乗ろうとした時、青年の低くて響きのよい声が遮った。
『え?』
「俺、捨て子だったから名前、園長が付けてくれた。朝昭(トモアキ)って言う。」
そう言いながら、どこか淋しげな表情をした。
〔この人も僕と同じなんだ…〕