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歩く、歩く 10

にゃんこ  2010-07-23投稿
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抱き締めていた俺自身の腕が指が震えている。
ベッドの上で抱きすくめられた先輩は微動だにしない
ゆっくり息を吐き出した。
「どうしたの?」

…え。

ど、どうしたのって聞かれても…。
このシチュエーション、わかってくださいよ!

ぱっと体を離して見つめたら、本気で驚いているみたいだったから笑ってしまった。

「いや…あの、好きなんですよ、先輩のこと」

…あら。
言うつもりもなかったのに言ってしまった。

…どうしよ。

「困るよ。僕、男だし」

そりゃそうだ。
しかしハッキリ言うなあ…意外とこの人は芯が強いから面白い。

「でも好きなんだから仕方ないじゃないですか」

こうなったらとことん自分に正直になってやる!

先輩の小さな唇に、自分の唇を押し当てた。

初めてのキスを先輩に。

先輩は何やら呟いて、強く俺から身を振りほどいた。
「もう…なんなんだよ、僕は」



呆れた眼差しでため息をつく。

「僕さあ、今のキスが人生で二回目なんだよ?
…何が悲しくて二回とも男なんだろう」

半ば投げやりに言い放ってガバッと布団を頭からかぶった。


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