抱き締めていた俺自身の腕が指が震えている。
ベッドの上で抱きすくめられた先輩は微動だにしない
ゆっくり息を吐き出した。
「どうしたの?」
…え。
ど、どうしたのって聞かれても…。
このシチュエーション、わかってくださいよ!
ぱっと体を離して見つめたら、本気で驚いているみたいだったから笑ってしまった。
「いや…あの、好きなんですよ、先輩のこと」
…あら。
言うつもりもなかったのに言ってしまった。
…どうしよ。
「困るよ。僕、男だし」
そりゃそうだ。
しかしハッキリ言うなあ…意外とこの人は芯が強いから面白い。
「でも好きなんだから仕方ないじゃないですか」
こうなったらとことん自分に正直になってやる!
先輩の小さな唇に、自分の唇を押し当てた。
初めてのキスを先輩に。
先輩は何やら呟いて、強く俺から身を振りほどいた。
「もう…なんなんだよ、僕は」
?
呆れた眼差しでため息をつく。
「僕さあ、今のキスが人生で二回目なんだよ?
…何が悲しくて二回とも男なんだろう」
半ば投げやりに言い放ってガバッと布団を頭からかぶった。