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歩く、歩く 12

にゃんこ  2010-07-23投稿
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むきになって怒ったり、静かに笑ってみたり鋭く分析したり。

わかればわかるほど、不思議な人だ。

俺はぶうたれてる先輩にサヨナラを告げ、一人にやにやしていた。

なんか面白い。
こないだまでつまんない毎日だと思っていたのに。
ただ、先輩と嘉納先輩のことに想いが及ぶと笑いが引っ込んだ。

あんな人がライバルじゃ、勝ち目ないしな。

先輩は否定してたけど、あの二人の絆に割り込める筈がない。


それでもその日から俺は先輩に付きまとった。
ま、護衛の意味もこめて。二度と先輩が殴られたりしないよう目を光らせた。 俺自身は運動部じゃないしネット人間だけど、身長は高いし何より一人より二人の方が安全だ。

先輩はやっぱり仕方ないなという顔で相手をしてくれた。

たくさん話すようになったし、内心ますます惹かれていく自分に戸惑う日々だ。
一つ一つの仕草や笑みが、思いがけない言葉がいとおしい。

だけど、俺はそれを表に出さないよう努力していた。
先輩も、あの告白はなかったことにしているみたいだ
ある晴れた日曜日、先輩は遊ぼうと誘う俺に言った。

「行くとこあるんだ」

…嘉納先輩のとこだ。

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