「誠司君は無理やりしたりするような人じゃない」
…限界だ。
この一言で俺は臨界点を越えた。
「貴方に…貴方に俺の気持ちの何が計れるんです?無理やりできないと思うんですか?
…教えてあげるよ、先輩。男はね、理性だけじゃいきていけないんだ」
嫌われてしまえ、いっそ。
俺は背後に横たわるベッドに先輩を組み敷いた。
「まっ…」
待って、と言いかけた唇を唇でふさぐ。
前みたいに優しいキスじゃない。
喧嘩しているみたいな、やけっぱちなキスだ。
「っ…いやだっ…」
激しく腕を振りほどこうとする…でも離してなんかやらない。
押し倒した先輩の睫毛と俺の睫毛が触れる。
まっすぐで綺麗な目だ。 今は睨んでいたとしても。
「貴方が好きなんです。
だからこんなことしちゃうんです。
…でも俺だって痛いし、怖いし…苦しいんだ!」
唇をこじ開けて、舌をねじ込む。
噛まれたらどうしようなんて思わない…先輩が噛みきってくれるなら、それで死ねるならそれでもいい。
「んっ…」
愛しい。
愛しくて愛しくて、頭が先輩一色になる。