それから数日間で、俺はようやく自分がどーゆー状況か理解した。
そうだった。
俺は刺されたんだった。
誰だ…えーと、ほら、あ、そうそう、オバハン先生に刺されたんだ。
…。
「悠は?…ねえ、悠は無事なの?」
自称俺のかーちゃんに聞くと悠は無事らしい。
人の心配より今は自分の心配をなさいね、とかクドクド言われて殊勝な顔して大人しく頷く俺。
まだ疲れてるから芝居もかったるい。
つい、乱暴な口調になりそうだから気をつけねえと。
「母さん、いろいろ心配かけてごめんなさい」
リンゴ剥いてた手を止めてオバハンは涙ぐんだ。
いいのよ、アキヒトが無事なら。
無事じゃねえよ、ばーか。
未だにたいして動けねえし、季節はもう冬になってんし…12月とか、冗談じゃねえよマジで。
浦島太郎ってこんな感じ?
「勉強しないと」
オバハンはそうね、貴方なら多分受験にはまだ間に合うわよ、なんつってる。 そりゃ受けるのはお前じゃないんだから何とでも言えるだろ。
受けて落ちるよりゃ、まだ受けない方がいい…けどこの状況で受かれば間違いなくプラスだよな。