「すみません、考えごとしてて…ケガありませんか」
見たとこ打撲程度っぽいが因縁つけられたらウザイしここは下手にでとく、と。
「ケガぁ?してるよ、してるに決まってんだろ、いってえなあ!」
男はムスッとしたまま俺を睨んだ。
へえ、怒っててもイイ男じゃん。女子ならキャー!とか言ってテンションあがっちゃいそうなww
「すみません」
重ねて謝ると、奴はまじまじと俺を見てきた。
なーんだよ、やっぱ喧嘩売る気か?
「…お前…あ、お前、一時テレビで話題だった貴公子だな!意識取り戻したとかまたやってたけど…」
うるせえ兄ちゃんだなあ。
「はあ、そうなんですか?俺、テレビ見てないんで」
大学生くらいの兄ちゃんは痛みも忘れてフーンとか言ってる。
もういいや、行っちまお。
車椅子に手をかけた時、その兄ちゃんは不敵に笑った
なんだよ?
「…お前、テレビで言ってたイメージと違うなあ」
動かしかけた車椅子を止める。
「…何が?」
さっきのイライラも手伝って声が尖る。
「なんか、仮面っぽいねえ…お前さん」