圭が現れたことで、退屈な生活に変化が起こる。
例えば悠と圭。
視線が意味ありげに絡む。お互い警戒してんだろ?
誠司は最初ほど俺を意識していない。圭とも仲良くなりつつある。
俺と圭。
素性をあっさり吐いたってことはいきなりなんかしようって訳じゃねえんだな。圭が俺の頭んなか覗いたように問いかける。
「アキヒト君は将来何になりたいの?」
「官僚」
圭は笑う。
「だよね、医者や弁護士みたいな人を救う仕事なんて考えただけでも鳥肌だろ」
ニコニコ笑顔。
でも悪意の塊。
二人きりのときは俺との間に火花が散る。
「そういうあんたは?
大学生がしょっちゅう暇にして会いにくるなんて…気楽でいいね」
「俺は教師かな」
「世の中から1人消え…また1人生まれるわけか」
ふざけた口調に圭の拳に力がこもる。
一点リード。
「…お前の父親、どこにいるか知ってる?」
!!
思わず息を吸い込んじまった。くそ…!
圭はニヤニヤしながら先を言わない。
はったりか?
「会いたいか?」
…落ち着け。
「…別に」
圭の手が俺の手を撫でる。そのまま持ち上げて、手の甲に口づけ。
「行く?」