中学の時付き合ってた彼女はそれなりに可愛くて頭も良くて女の子らしい仕草の上手い子だった。
告ってきたのも彼女
別れを告げてきたのも彼女
あの時、
何で俺は引き止める事をしなかったんだろう。
「佐藤くん…?佐藤くん聞いてる?」
佐藤、俺だ。
「あれ?長谷さんどしたの」
「昨日借りてた教科書、返しにきたんだけど」
「ああ…、ごめんわざわざ」
「ううん、借りたのは私だし、ごめんね結局1日中借りっぱなしで」
隣のクラスの長谷さんは委員会が一緒だったのがキッカケで話すようになった
(そういえば…彼女どことなく似てるんだよな。)
「全然。俺のクラス夏休み明けまで使わないらしいし、まだ使うなら持ってて良いよ」
「え?ほんと?!凄い助かる!実はなくしちゃったみたいで…」
「リュージー!!!!!」
…げ。
「じゃあね長谷さん」
「あ、え?佐藤くん友達が…」
呼んでる、と言いたかったんだろう。分かってる
だからわざわざその声とは逆方向に向かってるんだ俺は。
「ちょ、待ってって!リュージおーい!」
「黙れ喋んな近寄るな。あっち行ってろアホ」
「ヒドい…あ、ちょっと!」
早歩きからスピードをあげて俺は逆方向へと走った
途中誰かに注意された気もするが止まれるか!
振り向かずとも分かる。確実に奴はいる!
…高校生にもなって廊下で本気鬼ごっこをするなんて思ってもみなかった。
昔は俺がキレてカズミをよく追い回してたけど…
「リュージって!…げ」
「うわ!」
急に手を引かれ体勢が崩れ、俺達は同時に滑って
転んでしまった。
逃げれるハズがない。
俺が追い回してた頃もカズミを1度だって掴まえる事ができなかったんだから
「…いっ…テぇな馬鹿!!」
「リュージが止まんねぇからじゃん!」
「だからってお前が無茶するからこうなったんだろ!(怒)」
「…とりあえず立たない?」
あの日から会わないようにしてた俺の努力は
1週間で終わった。