圭とアキヒトが並んでいる
二人はふざけあって、じゃれあっている。
それは恋人にも見えるし、仲がいい兄弟みたいにも見える。
そんな二人を眺めながら、僕は隣の誠司を見つめる。
少し大人っぽくなって、しっかり前を見ている。
僕の視線に気づいて、微笑んでくれた。
僕も、笑顔を返す。
こんな風に幸せな時は、いつまで続くんだろう?
高校を卒業しても、そのさきも続くなんてだれが言えるだろう?
でも。
僕が幼い時から見たかったアキヒトの本当の笑顔も、
僕にできた大切な人も、
今この時、すべてが揃っていて…
世の中は完璧だ。
僕の世界はキチンと回っている。
嘘をついても、また何か試されるようなことがあっても、僕らは歩いて行くんだろう。
それぞれの明日を歩いて行くんだろう。
冬があけて、太陽が顔を覗かせれば
それぞれの草原が広がっている。
ひとりひとりの草原が
ひとりひとりの大切なタンポポを携えて輝く。
風に揺れて、金色に輝く。
「何やってんだ、行くぞ」
はっとして顔をあげたら、皆が僕をみて笑っていた。
僕は慌てて
駆け出していく…。
完