「澄越を不倫相手に選んでいたのもあの律子の義父。うまく彼女たちを丸め込めば、学校内に氷牟田と澄越たちという二つのパイプができる」
「そ、そんな、そうだとして…。そうだとしたら、氷牟田くんと新島さんのお義父さんは知り合いで、新島さんは最初からこうなるように仕組まれていたの?」
「律子があまりに無関係過ぎるんだ。
いくらなんでも自分の義理の娘まで巻き込む必要は無かった…。」
「そして澄越さんたちすら利用して、私を…?」
「後一歩のところで俺が律子から連絡を受けたから、警察が来て美月は連れて行かれずに済んだ」
美月は不安がよぎった。
この先、自分のせいで倉真や周りの人たちに迷惑がかかるのではないか?
氷牟田と名乗ったあの男や、
もしかしたら律子の義父に、
狙われ続けるのではないか?
「もうすっかり良くなりました」
律子は優しく微笑んで、美月を安心させた。
一週間経ち、美月と律子は回復した。
利香と佳乃はまだ三春の死からは立ち直れていなかった。
「新島さんそれで、お義父さんは…」
「やはり家には誰もいないそうです。
母は仕事が忙しく…義父を捜す暇も余裕もなくて…」
「律子…俺たち安全になるまで一緒に暮らさないか?」
「!わ、私と…倉真くん…が?」
「もちろん、私もいます。新島さんと新島さんのお母さんの許可が取れればだけれど」
律子は首を振った。
「母は生活費が浮くから喜んで私を送ってくれます。だけど、先生のお世話になるわけには…」
「良いの。それに警察の警護も兼ねてるの。安全は保証されてるから」