律子は嬉しかった。
今まで辛くて苦しい出来事ばかりだったし、これからもそういう目に遭うかもしれない。
だけれど、倉真と美月がいるならば。
「私…精一杯、二人のために頑張ります」
律子の応えに二人は笑顔を返した。
一カ月後…。
澄越三春と君人の名が刻んである墓石の前に、三人は立っていた。
「必ず、犯人を捜しだすからね。あの男を…」
「澄越…見ててくれ」
「澄越さん…」
律子はあの日を思い出すと、今でも震えが止まらなくなる。
しかし、美月から何度も謝罪の弁は聞いたし、三春の凶行の理由も聞いた。
そして今はなにより自分の義父にその身を狙われているかもしれないのだ。
強くならなくてはと、律子は心に決めていた。
――もうすぐ迎えに行くからね。
私の可愛い義理娘。――
ぞくっとした寒気を背後に感じ、
律子は後ろを振り向いた。
誰もいない。
この律子の悪寒と倉真の憶測は、
近い将来現実となって三人の前に横たわることになる。
それまではまだ、
笑っていつものように平凡な毎日を、
三人は送り続けることとなる。
「ええ、澄越三春の携帯に…。
確かに残ってますよ。
女教師と男子生徒が只ならぬ関係であったという証拠がね…。
ええ、楽しみにしていて下さい。
では…」
snow love
END