「すみません、お待たせしちゃって? 」
ある割烹料理店に連れてきて貰った、そして店内のトイレから座敷へと帰ってきた私。前頭ハゲのオヤジ――― 【吉川】と名乗るオヤジはニコニコと満面の笑顔で私を迎えてくれる。
「良いよ良いよ、それよりこれ飲んでみて? 」
綺麗な琥珀色の飲み物だ。もしかして、お酒?
「チューハイだから大丈夫? ジュースみたいなものだから? 」
「お酒はちょっと? 」
「飲んだ事はないのかな? 」
「まだ… 未成年者なんで? 」
「え、お嬢ちゃん、何歳なの? 」
「 …18です。」
「じゃあ、大丈夫やん。オレなんか、中学生の時から飲んでるし? 」
「… 」
「何でも初体験はあるよ、エッチの時もそうだったでしょ? 」
「私、エッチの経験なんてありません? 」
「え、あ… じゃあ、まだバージンなんだぁ。」
なんだか今、吉川さんがほくそ笑んだような気がした。
「せっかく注文したから一口だけでも飲んでみて? 」
「じゃあ… 」
ん? ホントにジュースみたい、ちょっぴり美味しいかも?
「どう? 」
「 …美味しいです。」
「じゃあ、その一杯だけは飲んでみて? 」
ま、いっか、なんだか少しだけ大人になった気分だし。私は時間をかけてチューハイを戴いた。
眠い? なんだか無性に眠い。
私、どうしたのかな… チューハイ一杯でこんなに眠くなるの?
「お嬢ちゃん眠そうだね、もしかして酔ったのかな? 」
「あ、いえ… ごめんなさい。」
「良いよ良いよ、タクシー呼んであげるね? もしかしてお酒に弱い体質なのかもなあ… 無理に飲ませてしまったみたいで、ホントに申し訳ない? 」
「大丈夫です。あ、でも、私そろそろ帰らないと。」
「うん、そうだよね? じゃあ、タクシー呼ぶから? 」
吉川さんって親切だなあ? 意外と良い人っぽいなあ? あー、それにしても眠いなあ… お酒に酔うって、こんな感じなんだ。
タクシーが店の前まで来てくれた。乗り込む私?
あれっ? 吉川さんも乗ってきた?
私一人で大丈夫なのに?
送ってくれるのかなあ… 。
よく分からないやあ… 。メチャクチャ眠い… ?
私は激痛で目が覚めた。なんだあ、この下半身の違和感は?
誰かが私の上に乗っかっている?
え、吉川さん?
え? あれっ?
次第に意識がはっきりとしてきた私。
???
吉川さんとひとつになっていた私だった。