「理央がきたぁ」
彼が来ると、教室はこんな感じになります。
僕がきても誰も気づきもしないんで、時々僕は人間には「人気者探知機」みたいな、ゲゲゲの喜太郎のアンテナみたいなものがあるんじゃないかと考えます。
小早川さんがニコニコしながら席につくや、派手な感じの女の子グループ(思うに彼女達は暗い感じの女の子グループから大層嫌われています。彼女達も勿論それを楽しんでいます)
が小早川さんの頭を撫でたりします。
小早川さんは笑って「やめてよ、もう」とかいいますが、同じように派手な感じの男の子グループからは 「いつも可愛がられちゃってんなあ」とか言われて笑われます。
が、決して意地悪な意味の笑いではなく朝の恒例行事で、「派手なグループ」ではないと自覚している普通グループの人々に
「俺たち、あたしたちは理央とこんなに仲良し」という所を見せつける時間なんだと僕は勝手に解釈しています。
だってそうしたくなるくらい、小早川さんは本当にキラキラしてるんです。
いつだって楽しそうだし、人気者にありがちな「どうだ、みろ、俺に注目!」みたいな押し付けが微塵もないんです。