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妄、想なんです 6

にゃんこ  2010-10-05投稿
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「な…なん…なんで、見てるの?俺、なんかした?」
僕は僕にぶつけられる彼からの言葉を全て噛み締めていた。
この瞬間。

この時は僕らは二人だけ。「時間」を「共有」している。

痛くなる…心臓が。

彼に近い体半分が、抑えが効かないくらいにざわめいている。

僕は笑った。

待ちに待っていた一言をぶつける瞬間がきた。


「嫌いだからだよ、小早川さんが。大嫌いだから」
全身に鳥肌が立った。

この刹那に浮かべる彼の顔が見たかった。

僕は見つめた。

とるにたらない虫けら以下の僕に「大嫌い」と言われた人気者の顔を。

彼は、絶句していた。

一旦開いた唇を閉じて、また開いた。
何度となく淫らな行為を頭のなかでしていたにも関わらず、たった一つのその仕草だけで、妄想を上回るくらい官能的だと僕は感心していた。

「大嫌い?」

繰り返し反芻している。
きっと言われたことがないんでしょう?
こんなにはっきり、否定されたことも。

「そうだよ。僕は君が大嫌いなんだ。その顔も、声も態度も全部」

追い討ちをかける。

それが、呪縛を解いたみたいに彼は予想外な行動にでました。

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