一方、美紀の夫・守(マモル)は、人手不足の会社の新支社に、助っ人として呼ばれていた。
一週間、同僚と一緒に地方の知らない支社に箱詰めである。
「まさかここまで人が足りないとはなぁ」
同僚とともに、機材の設置までしていた守は、愚痴をこぼした。
「参りましたね、阪崎さん」
「ホントですね」
阪崎成美(サカザキ ナルミ)は、同い年の同僚で、女性社員の中でもかなりのやり手だった。既婚者だが、子供はおらず、まだまだ現役を続けるらしかった。
「エアコンもまだ点かないから…暑くて」
成美はシャツのボタンを一つ外した。
「この作業全部私たちだけって、ちょっと重労働じゃないですか?」
「え…ええ」
守は美紀以外の女性には、ほとんど興味は示さない。が、成美だけは違った。
既に結婚していた守のいた部署に、
当時部下として配属されたのが成美だった。
当然、その時は何もなかったが、縁あってか、その後も何度か同じ部署・業務を任され、現在に至る。
成美は長い黒髪を軽くまとめ、ポニーテールにしていた。
「どうしたんですか?ぼーっとして…」
「いやぁ僕も暑くて暑くて…」
「自販機はもう入ってるんで、冷たい飲み物買ってきますね」
「あ、なら僕も…」
2人は、休憩室にある自販機を見て呆然とした。
「なにこれっ…全部¨売り切れ¨って…」
「商品の入れ忘れ…ですかね?…こりゃあ自販機の会社にも連絡しないとだなぁ」
「もう、なんでそんなに冷静なんですか……あ、水道水なら!」
成美が軽く蛇口をひねると、
勢い良く水が噴射した。
「ひゃ、きゃぁあ!!」
「わわっ…!!あ〜〜〜…」
流し台から床、壁まで水が大量に跳ね返った。
守はなんとか水を止められた。
しかし、シャツやズボンは水を被ってしまった。
成美の被害は甚大で、頭からスカートまで、ずぶ濡れになっていた。
「最悪……」
「阪崎さん、着替えとかって…」
「あります…けど…ホテルに預けた荷物の中で……」
「とってきます」
「だってお互いに…びしょ濡れで…あ!…」
「成美さん!!」
成美がかかとを滑らせ倒れかかった瞬間、守が間一髪で抱き留めた。
濡れた身体同士が触れ合って、2人は淫靡な気分にならざるを得なかった。
「……………」
「……………」