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予感 25

輪廻  2010-10-15投稿
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ホテルへの道すがら、成美は呟いた。

「本当は私……」

「?」

「知ってるんです…」

「?何を」

成美は守に向き直り、意を決して言った。

「守さん、栄転なんです。ここに」

守は目を見開いたが、直ぐに笑顔になり、成美を撫でた。

「やっぱり…。教えてくれてありがとう」

「私、嫌です。せっかく仲良くなれた…というより…せっかく本当の気持ちを伝えられたのに」

「勘弁してください。妻と離れてずっとあなたといたら、どっちが本当の奥さんか分からなくなる…」

守は成美の頬を手のひらで包んだ。
成美は顔が紅くなるのを感じ、
顔を背けた。

「そうやってどっちつかずにしても、私はあきらめません。当分、私も旦那との間に子供を持つ気はありません、だから」

成美はまたしても守に向き直った。

「今、一緒にいられる時間だけでも、目一杯愛してください」

「成美さん」

「早く、早く歩いてっ…ほら」

守は、回り込んで自分の背中を押す成美が、泣いているように見えた。

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